2007年3月10日土曜日

本能解放の場としてのオンラインコミュニケーション

まぁ先週MMORPG等に対してグダグダ愚痴ったわけだが、もう少し考えを整理した結果以下のような結論に至ったので書き記しておく。

結局、今のMMORPGやSNSがやろうとしていることは、「つながっていたい」という「群れたがる」人々の本能的欲求の達成なのである。つまりベクトルとしてはポルノサイトと一緒である。「Second Life」において一番流行っている街がセックスフリーの街だという事実もその傍証となり得よう。

なのでポルノサイトに毎月金払ってる人がいるように、コミュニケーションのためにFFXIに金払う人たちがいるのも頷ける事である。だがしかし私のようなアンチ「つながっていたい」派からすると、純粋にゲームをやりたいのにそこに変にコミュニケーション要素を付けられても困るわけである。私はドラクエが好きだがドラクエにポルノ要素付けられてもウザいだけなのと同じように。しかしポルノが見たい人にすればポルノがある方が当然attractiveなわけで、そういう人が多数なのであればポルノ要素があるゲームの方が商業的に成功し長続きするのは当然ということである。

ただポルノサイトとコミュニケーションサービスが違うのは、ポルノサイトは「こちらが見るだけ」なのに対し、コミュニケーションサービスはその仕組み上必然的に「こちらも参加しなければいけない」ということである。(最近はポルノサイトもチャットだのライブカメラだのという付加価値を付けてきているが、それはこちら側が「需要」側のみならず「供給」側にも立たなければならない、という意味ではない)

なのでそういった「供給」側にまでは立ちたくない、という私のようなへそ曲がりにとって不要な要素を取り除くためには、「幽霊」としてゲーム世界に参加させてもらえればいいと思うのである。幽霊は会話もせず、ただ世界を彷徨って他の人々の移ろいを眺めるだけである。匿名属性で悪事を働く人と区別するために、ゲーム世界の現象に物理的影響を及ぼすことを一部制限するようにする。そのかわり影響を受けることも少なくする。まさに西欧に言う「Ghost」的存在になるわけである。まぁそれがMMORPGに「参加」している、と言えるのかどうか疑問の余地もあるが、ある程度やれることを残しておけばそれなりには楽しめるような気がするのだがいかがだろうか。

というわけで、成熟した大規模MMORPGであればある程度このようなユーザも受け入れる余力があるのではないかと思うので、運営会社にはご検討いただけないかと思う次第。

追記:別に「ポルノだから『悪』である」とか言うつもりでは一切ありませんので。第一私がやりたいことも「せめてネット上では、社会のしがらみから解放されたい」という欲求に基づくことですから。

PS3版SecondLife

asahi.com:PS3版「セカンドライフ」 ネットに仮想空間、秋から

ソニーらしい先取的な取り組みであるといえよう。ゲーム機ゆえにSecondLifeほどユーザーがcreateできる部分は多くないと思われるので、運営側のきめ細かい作りこみに期待したいところ。てか私はやらないけど。

「コミュニケーション不全な人限定居住区」でも作ってくれれば私も住める余地があるのだが。←本末転倒だし

2007年3月2日金曜日

ネット上においても群れたがる人々

私が学校生活において一番忌み嫌っていたのは「学級」という制度だった。要は組織を作らせるのは統率する側の都合であり、軍隊式統制を保つための手段に過ぎないと思うのだが、生徒たちもまた「クラス全体で何かを成し遂げよう」みたいなイベントになると皆サラブレッドのようにそれに向かって邁進し、また放課後においてすら部活動と称して共同幻想に向かってもがくような真似を延々と行っていたのだった。

古くは江戸時代における五人組制度に見られるように、統率する側は強制力を以て人々の間に線引きをし、連帯責任を負わせることを行ってきた。それはあたかも奴隷同士をつなぐ鎖のような仕組みである。また「ヒトは群れたがる社会的動物である」とかつてある学者が唱えたように、人々もまた何かといえばお互いの共通点を見いだそうとするなどして、それを拠り所に群れを作りたがってきたわけである。宗教などはまさにそれだ。

近現代においても、人は社会において職場という組織に属することを求められ、また「結婚して一人前」という風潮を残し、婚姻という根深い連帯責任関係を結ぶことがよしとされてきた。そうした責任関係の中に人を押し込めることによって、個人の突飛な行動を封じ、社会秩序を防衛しようとしているのである。

翻って現在、インターネットの普及により、情報は「物理的な距離の近さ」から解放され、人は物理的に接近し群れを作ることの必然性からある面において解放された。にもかかわらず人々は、インターネット上においても互いの共通点を見いだそうとして「コミュニティ」を形成し、MMORPGなどの現実社会の枷から逃れることを旨とする場においてさえ「ギルド」の形成がゲーム内生活の円滑な遂行に必要とされているのである。

結局、ネットであれ何であれそれを構成する主体がヒトである以上、やることは同じということなのだろう。鎖につながれることでむしろ人は安心を得ているのかもしれない。

コミュニケーション不全な私にとって理想のMMORPGとは

代休の今日、つらつらネットを見ていたら、近日日本語版がはじまるという「Second Life」のことが書いてあったので、どんなもんじゃろと思いサインインしてみたのだが、まぁこれはゲームというよりは世界シミュレータみたいなもので、飛行能力とテレポーテーション能力と物体生成能力を与えられて後は好きに暮らせ、という趣旨のようだと理解した。つまりこれは「何をしても自由な(無目的の)空間と、未知の他人との楽しいコミュニケーション」という、MMORPGから私が苦手な要素だけを抽出したものであるということがわかったので、数時間で金輪際ログインしないと誓ったのであった。途中しつこく話しかけてくる外人を完全無視してたら侮蔑的な捨て台詞を吐かれたりもしたし。まぁ通りすがりの他人に気軽に話しかけるのを是とする文化圏にいるあちらにしてみれば、こちらの態度が不誠実なものだと感じたのだろうが。

これまで EQ、DAoC、EQ2、大航海時代Online、FFXI、Mixi(違)といくつかのオンラインRPGに取りかかっては辞めてきた私であるが、どれも面白くないわけではないと思うのだが、決定的に向かない理由として「見ず知らずの他人と意思疎通をしなければならない」という、オンラインRPGの、多くの場合メリットと言われている点があるのである。(EQは2年やったがほとんどソロプレイ)

…というとほぼ100%言われるのが「他人と関わりたくないならオンラインゲームやるな」という反論なわけだが、これは別に「関わりたくない」とかいう好き嫌いの問題ではなく、目が見えないとか手が不自由とか言うのと同じでハンディキャップの一つであると理解してもらいたいのである。実生活でも人見知りで苦労してるわけで。(30近い男の言うことじゃねーが)

別に「オンラインゲームであること」が「他人とのコミュニケーションを楽しむ場であること」の十分条件ではないと思うのであって、私自身EQやFFのの多くの人が同じ時間と同じフィールドを共有する空間にいること自体はとても好きなのだが、だからと言って他人の輪に加わりたいとは思わないのである。なら匿名属性にして誰とも関わらずほっつき歩いてろよ、という意見もあろうが、それはそれでできることが限られてつまらないのであって、結局わがままなだけなのだが、こっちも毎月いくばくかの金子を差し出しているのであるからして、こっちのわがままをネットの技術で解決してくれる場があってもいいのではないかと思い、どうだったらいいのかをPCの前で暫し考えてみたのである。

でその結果、MMORPGにあってオフラインゲームに無いもので私が求めていることは何なのかというと、やはり他人との会話なのであった。矛盾してんじゃん、とも思うが、現行のMMORPGにおいて求められているコミュニケーションというのは、こちらと向こうが完全に同じ土俵の上に立って話をして、うまくいけば良好な関係が築けて楽しい会話ができるが悪くいくとけんかになってしまうというリスキーなものだと思うのである。それが楽しいという人が多いのだろうが、私などはコミュニケーションの結果他人に悪い印象を与えることを極端に嫌うタチなので、そうなるくらいなら他人とのチャンネルを遮断してしまった方が楽だ、という方向に走ってしまうのである。まぁ実生活におけるコミュニケーションでも同じようなもんだと思うのだが、だからといって仮想の世界にそれをそのまま持ち込まなければならないというルールも無いのである。コミュニケーション不全の人間を矯正するのが目的なら別だが。

「別に所詮ゲームなんだからそこまで気にしなくていいじゃん。怒らせたって相手とそんな深く付き合うわけじゃなし」とも言われるが、それを是とするのなら仮想世界でのコミュニケーションの意義自体が失われてしまうのでその指摘はナンセンスである。まぁ普通の人はそこら辺をうまくこなして楽しいコミュニケーションを満喫してらっしゃるのだろうが、そういったチューニングがうまくできないというのもまたコミュニケーション不全の症状のひとつであったりもするのである。(ある人には挨拶もろくにしないのに、ある人には過度になれなれしく接しようとしたりするというような)

つまりどういうことなのかというと、
・他人と会話はしたい。
・見ず知らずの人と「一緒に戦った友達」的な深いコミュニケーションをしたいわけではない。
・しかし「ほどほどに親しい」という接し方も技能不足でできない。
という、まぁここまで我慢して読んでくれた方も「勝手にしろ」と投げ出したくなるような結論なのだが、私のような人間にもMMORPGのサービスを売りつけたい熱心な運営会社が仮にこれを読んでいるとして、どういうゲームであればやってもいいかというのを仮定してみると、こちらとしては単に「オフラインゲームではできない生身の人間との時間空間の共有と、私にとって快適な程度にフランクな会話」を求めているので、要は給料もらったプロのプレーヤーが、私に最適なスタンスで一緒にプレイしてくれれば一番いいような気がするのである。まぁ人件費的に現実にはほとんど不可能であろうが。てかどんだけわがままなんだって話だが。

まぁそんな途方も無い話だとどうしようもないので妥協点を探ってみるが、幸いMMORPGにおける会話はほとんど文字チャットを通じて行われるので、相手がそんなに身を入れて話さなくてもごまかせる面があると思うのである。要は相手は「演技」でもいいのである。つまりうまく「演技」さえしてくれれば、こっちもある程度満足できて、双方問題ない、ということである。これこそネット仮想世界の特徴をうまく活かした解決策ではないだろうか。これがたとえば現実のメイド喫茶とかだったら、よっぽどうまい人でない限り「どうせ演技だろ」と白けるだろうし。行ったことねーけど。

また、金で雇うという関係であれば、こちらも「どうせ金もらってっから付き合ってくれてんだろうけど、まぁこの場で楽しければいいや。こっち金払ってんだからいやならやめりゃいいし」的に割り切れそうなので、人間関係という(私にとっての)桎梏からもフリーになれるわけである。まぁ必然的にこっちが払わなければならない金額は増えるだろうが、実現するんだったら月5千円ぐらいだったら払ってもいいと思う。毎日職場でいやいやながら仕方なく他人とコミュニケーションして疲れた精神を、PCの前で(うわべだけでも)親しげに女性プレーヤーとゲームできてストレス発散できるなら全然払えると思うな。って女性限定かよ。結局異性と会話してーだけじゃねーのか私は? つかそれってベクトル的にイメクラじゃん。

…という超キモい最終結論に達したところで、とりあえず風呂入って寝よ。結局休みも椅子座ってばっかで腰が休まらなかったなぁ。

追記:
「金で解決する前に友達作れよ」って話もあろうが、しかし気軽に友達作れる体質ならこんな苦労もしないわけで。